アメノオト

君に出会って 雨が少し好きになった

鈴カステラに救われた亡霊の話

2018年1月17日。渋谷は雨。

私が応援しているジャニーズJr.の岸優太くんが、King&Princeとしてデビューすることが発表された。「自担ユニがデビューする。」この経験は2度目なのに、なんだか不思議な新しい感覚だった。嬉しいだとか嫌だとかいった個人的な感情が湧いてこなかった。ただ「こんな奇跡みたいなことがあるんだな」という気持ちだった。きっと後にも先にもないこの感覚を忘れないよう、書き記しておこうと思う。

 

デビュー発表を聞いて、真っ先に思い出したのは岸くんとの出会いだった。

私が岸くんを知ったのは、彼がMr.King vs Mr.Princeとして活動をしていた2015年。大学の友人が、かつてYa-Ya-yahのオタクをしていた私を再びジャニーズJr.の沼に引きずり込もうと「今のジャニーズJr.も、すごいんだよ!!!!!」とオタク得意のダイレクトマーケティング始めたのがきっかけだ。その中で友人が「昔のYa-Ya-yahみたいに、キラキラしたグループがあるよ」と熱烈に紹介を始めたのが、当時のキンプリだった。

 

勢いがあって、まぶしくて、儚い

 

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10年前、私が大好きだったYa-Ya-yahは解体された。フレッシュで、キラキラで、ずっと一緒にいると思っていた4人は別の道を歩むこととなった。

JUMPのデビュー発表があった翌日、私は悲しくて、悔しくて、涙が枯れるほど泣いた。初めて学校を休んだ。ご飯がほとんど食べられない日々が続いた。JUMPのメンバーが嫌いだったからではない。むしろ好きだった。ただ私は、大好きなYa-Ya-yahがバラバラになることが受け入れられなかった。

それから私は5年以上ジャニーズを離れていた。毎週見ていた歌番組も、少年倶楽部も見られなくなった。2015年、伊野尾革命をきっかけに再びJUMPを応援するようになるまで、ずっとジャニーズやJUMPの出ている番組を避け続けていた。

今考えると馬鹿けているし、どうしてJUMPを素直に応援できなかったんだろうと後悔する。けれど当時は、裏切られたという思いが勝ってしまった。

 

友人からキンプリを紹介されたものの、当時は平野紫耀カッケェ卍漢字読めんけど!程度の感想で、特にハマるわけではなかった。そもそもキンプリがなにきんやセクボを解体してできたグループだったから、永遠なんてない、また裏切られるかもしれないという思いが頭をよぎった。

「この子たちも、いつかバラバラになってしまうんだろうな」

そんなことを考えながら、友人のダイレクトマーケティングを聞き流していた。

 

 

 

 

 それから1年後。TLに衝撃的なツイートが流れてきた。

岸くん鈴カステラじゃん???????

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そこには、ハゲた横髪をさっぱり刈り上げたアイドルらしからぬ髪型の男の子が写っていた。こいつ…ヤベエやつじゃん…こうして岸優太くんをグーグル検索したのが、すべての始まりだった。

この人、実はめちゃくちゃ顔がいいな....?(検索して一番始めに出てきた画像がお兄ちゃんガチャ時代の写真でよかった)

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個性の強いシャカリキなダンスがいい。よくわからん発言がいい。なんかいい。

まとめサイトの情報と、彼の変な髪型を見ていたら、なんだか全てが馬鹿らしく感じてきた。アイドルに裏切られる?きっとアイドルはファンを裏切ってなんかいない。彼らの将来は、私たちが決めるものなんかじゃない。

 

この子は何かになりたいんじゃなくて、ただガムシャラに、目の前のことに向き合っている。だからきっと、何にだってなれるんだろうな。

 

そう思ったら、アイドルの未来に対する恐怖心から解放されて、肩の荷がおりた。ただ岸くんの今この瞬間をその都度目に焼き付けていきたい。そう思って岸くんを担当に名乗るようになった。

 

きっとあの日私は、ようやくYa-Ya-yahの亡霊を成仏することができたんだと思う。

本当に馬鹿らしい話だけど、私は岸くんの鈴カステラ頭に救われた。

 

鈴カステラ事件以降、色んなことがあった。Mr.King vs Mr.Prince のvs Mr.は消え、PrinceはMr.KINGとは別グループとして活動していた。露出の多いMr.KINGとPrinceの狭間はどんどん広がっていった。もう、あのキラキラの6人を見ることはないのだろうと思っていた。

 それでも岸くんはとにかくガムシャラに食らいついていた。歌もダンスも演技もバラエティも、本当に一生懸命やっていた。

2017年の終わり頃には、もうMr.MINGとの格差だとか、ジュニアがデビューしない閉塞感だとかはどうでもよくなっていた。とにかく岸くんを応援することが、ただ楽しかった。

 

そして2018年1月17日。

King&Princeという新しいジャニーズのグループがデビューすると発表された。

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メンバーは、Kingの平野紫耀、永瀬廉、髙橋海人。Princeの岸優太、岩橋玄樹神宮寺勇太

「この子たちも、いつかバラバラになってしまうんだろうな」

そんな風に思っていたMr.King vs Mr.Princeのメンバー6人全員がデビューする。信じられないようなことが起こった。こんなことが実際に起こるんだ。私はただ驚くことしかできなかった。

その日の帰り道は雨が降っていた。私は傘を忘れたけれど、雨を鬱陶しいとは思わなかった。「岸くんは、相変わらず雨男だなあ」なんて思いながら、トキオカケルに間に合うようにと家に帰った。

 

 

デビューしたら、岸くんの環境はガラリと変わるだろう。でも私のスタンスはきっとこれからも変わらない。岸くんの刹那を、今この瞬間を、その都度目に焼き付けていくだけだ。

 

きっと10年前の私は、アイドルに「こうしてほしい」「ああしてほしい」という期待を持ちすぎていた。だから「4人でデビューしてほしい」という期待が叶わなかった時、裏切られたと感じてしまったんだと思う。

岸くんに出会って、アイドルに対して何かを求めることが(髪を切りすぎないでほしいという願望以外は)ほとんどなくなった。それは多分諦めとかではなくて、岸くんは私なんかが予想がつかない新しい世界を見せてくれるという信念みたいなものから来ているんだと思う。

岸くんの鈴カステラ頭は、「○人じゃなきゃ嫌だ」「デビューしてほしい」 といった呪縛から、私を解放してくれた。きっと岸くんがどんな形で活動するにしても、私は祝福しただろう。岸くんに出会ってから、私は毎日が楽しくて仕方ない。

アイドルに期待を持ちながら応援することは、決して間違っていない。アイドルの未来に信念を持つことも正しい。だけど岸くんは、違ったアイドルの応援の仕方を教えてくれた。今この瞬間の岸くんを見守るという方法が、私には合っていたというだけの話だ。

 

ねえ岸くん。亡霊になった私を鈴カステラ頭で救ってくれて、ありがとう。デビュー、本当におめでとう。

岸くんが選ぶ道なら、私はどんな結果が待っていても、楽しめる自信があります。

でも、岸くん。一つだけワガママを言わせてください。できることならデビュー曲のジャケット撮影前に、ハゲないで髪を刈りすぎないで欲しいです。